新宿駅で乗った小田急小田原線から小田急多摩線内の駅に向かうには、新百合ヶ丘駅で乗り換えないといけない。時々直通の電車もあるが、通勤時間帯は多摩線内は急行だったりするので、通過駅となる五月台、黒川、はるひ野で降りようと思うと、新百合ヶ丘駅で乗り換えることが多くなる。
この乗り換えは、さまざまな理由でドラマがある。大事件にはならないが、十分に寂しい思いはできる。ちょっとした時間の無駄遣いにもなる。しかし、大人であれば、少し俯いて、微かな笑みを浮かべることもできるのだ。その程度のドラマである。
乗り換えそびれる
体調が悪くて、昼で早退けするときなどに起こる。新宿始発の電車は、昼の時間帯は空いているので座ることができる。それがこのドラマでは重要な鍵となる。
午後の電車内は静かで、晴れているとポカポカとしている。当然、眠たくなる。読書をしていても、瞼が重くなってくる。気がつくと寝ている。持っていた本を落として、その音で目覚めたりすることもある。
読書を諦めて、本を鞄の中にしまってしまうと、このドラマの伏線は大体そろう。そして、電車に乗る夢を見ながら、新百合ヶ丘駅を通過してしまう。
新宿で、急行か快速急行に乗っていたら、新百合ヶ丘駅の次の停車駅は町田である。ずいぶん遠いのだ。ホームの様子もだいぶん違う。ふと目覚めた目に映る景色は、とても驚きに満ちている。
そして、慌てて電車を降りることになる。
乗り換える電車を間違える
新百合ヶ丘駅の多摩線ホームは3番線、4番線にある。
1番線、2番線は小田原方面の下り、5番線、6番線は新宿方面の上り電車がそれぞれ停車する。新宿で乗った電車は下りなので、新百合ヶ丘駅では1番線、2番線に停車する。そこから多摩線ホームの3番線、4番線に移動する。
この、ホームの移動が、乗り換える電車を間違えさせる。多摩線方面のホームは3番線、4番線と決まっているのだから、間違えることはなさそうなのに、間違える。その理由は、時々、下りの急行列車が3番線、4番線に停車するからだ。時々混じる、多摩線直通の急行列車があるからである。
還暦まで後数年の頭では、十分に混乱を起こす状況である。多摩線直通の急行列車であれば、だいたい新百合ヶ丘駅に着いたら、同じホームの向かい側に停まっている電車に乗ればいい。小田原方面にそのまま走っていく急行に乗ってきていれば、3番線、4番線に移動する。
簡単なことなのだが、それを間違える。間違えたことをしみじみと噛み締めるのは、柿生駅である。夜の、乗降客の少なくなった柿生駅である。スーパーマルエツの灯りを見ながら、焼き鳥を食べたくなる思いを抑えつつ、微かに笑うのである。
やさしい乗務員
新百合ヶ丘駅3番線、4番線の電車の乗務員は、やさしい。小田急の乗務員は、多線に比べてやさしいが、特に多摩線のやさしさは格別な気がする。おそらく多摩線を守る神様が心やさしいのだろうと思う。
そのやさしさは、3番線、4番線の多摩線ホームに降りるエスカレーターの前で最大限に発揮される。多摩線唐木田方面行き電車の発車ベルが鳴り終わっても、乗務員はまだ車外に立ち、エスカレーターで降りてくる人を待っていてくれる。
子供連れの母親とか、急げない老人の場合は、ゆったりと待っていてくれるのだ。
一方で、締まりかけのドアに元気に駆け込む人には容赦がない。もちろん閉まりかけのドアも、そのまま閉めると危険な場合は開ける操作をしてくれる。その上で、お小言を頂戴する。
当然だ。駆け込み乗車は危険なのだ。迷惑行為でもある。
乗務員の確認しにくい位置からの駆け込みはするべきではない。乗務員の反射神経を試験するべきではないのだ。
それでも、思う、小田急の乗務員はやさしい。待ってくれる。心の中で、もういい、先に行ってくれ、僕のことは気にしないでくれ、と言っても、体感的に8割以上は待ってくれる。
多摩線を守る神様がきっと、心やさしいからだ。
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多摩丘陵での新生活は、まずは住まい探しから。
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