もう、何度読んだかわからない。
最初に、この本を読んだのは、まだ40歳代の頃。
仕事で、忙しく、あちらこちらと飛び回っていた。
そして、とても疲れていた。
家族と、ゆっくりと過ごす時間があまり取れなかった。
それで、休日、一緒にいられるときは、家族でどこかに遊びに出かけていた。
そうして、いつも疲れていた。
仕事が生活の中心になっていて、自分のためや、家族のために、何をしていいのかがわからなくなっていて、ただ疲労だけをためていた。
そんな頃、この本と出会った。
斎藤茂太さんが、亡くなる直前まで校正をしていた本らしい。
一読して、「晩年の夫婦とは」の章の内容に、強く心を動かされた。
仕事ばかりしている自分の、一面が描かれているような気がした。
ただ、その頃はまだ、自分の生き方を変える決心がつかなかった。
その後も、何度か読んだ。
その度に、強く心を動かされる部分は違った。
最近、またこの本を読んだ。
今回は、本の全体的な印象が変わっていた。
初めから終わりまで、落ち着いた気持ちで読めたのだ。
それは、おそらく、この本で読んだことのいくつかを、これまでに実践してきたためだろう。
50歳をすぎた頃からは、意識して行動の仕方を変えてきた。
それは、この本に書かれていたことを、自分なりに実践するということだった。
「感動が心を軽くする」(p132)
「休み休みでいい、やめてしまわないこと」(p170)
「いつも『ありがとう』という」(p187)
これらは、現在の自分の暮らしの基本になっている。
斎藤茂太さんの暮らし方の姿も、この年になって、共感をともなって理解できるようになった。
無駄に生きてきた訳ではない。
そして、これからも生きていく。
家族の一人として、暮らしていく。
この本を読み終えるたびに、そう思う。
この本と出会えていてよかった。
自分の人生の、定点観測をするための、基点のようなものになっている。
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