今年は雨の多い、非常に多い九月になっている。
雨の九月で思い出す曲がある。
「九月の雨」。
太田裕美さんの曲である。
この曲で思い出すことがある。
一つ目は、この曲を従兄弟のオーディオセットで聴いたこと。
父の運転する車で、叔母の家に遊びにいった。
その時、従兄弟の部屋で、この曲のレコードをかけてもらって、一緒に聴いた。
従兄弟の部屋は広くて、部屋に入ってすぐのところに銀色のドラムセットがあった。
エレキギターとエレキベース、それぞれのアンプもあった。
そして部屋の奥に、当時の、大型のオーディオセットがあった。
従兄弟はレコードをたくさんもっていた。
ビートルズやレッドツェッペリン、ディープパープルなどは一通りあった。
そこに、当時の流行歌のレコードも混じっていた。
その中に、「九月の雨」があった。
まだ自分は小学生だったが、この曲の詞とメロディーの美しさは理解できた。
いい曲だな、と感じた。
帰り、雨の中を、父の運転で帰った。
車の中で、何度もこの曲を思い出していた。
その父が、今年の夏に亡くなった。
葬儀で、従兄弟と久しぶりに会った。
年老いたな、と感じた。
当然、同じだけ自分も年老いている。
時間の流れを、実感として感じる。
二つ目は、初めての海外出張の帰りの飛行機の中で、この曲を聴いたこと。
イタリアにある企業で、自分の発明した特許技術を説明することになった。
営業の人、工場の開発関係者の人、それに同行して、研究開発した自分が詳細の説明をする。
そういう分担で出かけた。
帰りは一人になって、スペイン国内になる自社の研究開発拠点に立ち寄った。
一人きりの行程になり、ヨーロッパ国内の出入国に手続きが必要な頃だったので、現地の人が気を遣ってくれた。
バレンシアの空港で、出国手続きの書類を、窓口の人に指示されながら記入したことを覚えている。
トラベラーズチェックなどを使っていた頃で、お金の心配もあった。
不安と、寂しさと、その他の気苦労などで、疲れていた。
バレンシアの空港からヒースロー空港に飛び、長い長い空港内の移動を終え、日本航空の成田行きに乗り換えた。
飛行機に搭乗する際、入り口で客室乗務員の女性が「おかえりなさい」と声をかけていた。
それを聞いて、とても安心して、泣きそうになったことを思い出す。
それから、軽い食事をしながら、機内で音楽のプログラムを聴いていた。
「九月の雨」を聴いた。
そんなことなどがあり、太田裕美さんの「九月の雨」は忘れられない曲になっている。
Tweet

