「坂の上の雲(二)」司馬遼太郎:結果論者のこと

坂の上の雲2

結果論者は、昔からきらいだった。
結果がでてからなら、なんでも言える。
結果がわかったことを、初めからそうなることを知っていたなどと言う人物は信用しない。
親しく付き合うこともない。
ただ、結果論者は、概ね間違ったことは言わない。
だから、組織の中で、次第に重く用いられるようになる。
そういう人とは付き合いがないので、自分はあまり派閥風のものの一員にはならない。
その方が、落ち着いた社会人生活ができる。
社会人生活をほぼ終えかけている今、確かにそう言える。
これも、結果論の一つかもしれないが。

 ウィッテは、日露戦争を予想した。
 さらにはその敗戦も予想した、とウィッテ自身、その回顧録で語っているが、そこまでは信じることができない。過ぎたことをふりかえるとき、人間は神になりうる。こうなることを私だけは知っていたのだ、と当時の渦中の当事者がいうほど愚劣なことはない。
 ウィッテは、閣僚として渦中にいた。
「坂の上の雲 二」司馬遼太郎 文春文庫 p372

ウィッテとは、日露戦争開戦当時のロシアの閣僚である。

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